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戦略と実行をつなぐ ―SHAPE Global Partnersが挑む、アジアの成長への貢献と伴走支援のあり方

戦略と実行をつなぐ ―SHAPE Global Partnersが挑む、アジアの成長への貢献と伴走支援のあり方

Corporate

Interview

2026/03/31

田中 英資 / SHAPE Global Partners (シンガポールオフィス) 代表
東京大学経済学部卒。スタンフォード大学および南京大学への留学を経て、Boston Consulting Group (BCG)に入社。Project Leaderとして主に官公庁向けのプロジェクトをリード。また、政府系ファンド、エンタメ、交通、通信、ハウスメーカー、半導体など国内外の多様な企業・組織を対象に、中期経営計画、事業戦略、M&A戦略、人事戦略、DX推進など幅広いテーマの支援経験を有する。2023年にSHAPE Partnersに参画し、B2C・エンタメ・スポーツ領域を中心に案件をリード。2024年にはシンガポールオフィスの立ち上げを主導、同代表に就任し、アジア全域での事業拡大を牽引。
鈴木 亮也 / Manager
東京理科大学大学院 工学研究科電気工学(修士)を卒業後、Deloitte Tohmatsu Consultingをはじめ、複数の外資系・ブティック系戦略コンサルティングファームを経て、2025年にSHAPE Global Partnersへ参画。2022年にシンガポールへ移住後は、官公庁、通信、商社、IT、製造業など国内外の幅広い業界の企業・組織を対象に、主にAPAC地域を対象とした海外事業戦略、海外展開、新規事業開発、マーケティング戦略等の案件をリード。
マーレン ブナワン / Analyst
インドネシア出身。文部科学省国費留学生として慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、グローバル大手食品メーカーを経て、SHAPE Partnersに参画。食品メーカーでは日本国内の営業を担当し、主にスーパー、CVS、薬局向けへの販売を経験。また大学在籍時には英語塾や保育園で英語を教える経験を持つ。インドネシア語、英語、日本語のトリリンガル。


多くの日本企業が東南アジア市場に活路を見出す一方で、戦略から実行までを一気通貫して支援できる戦略ファームは少なく、戦略を描いても現地特有の商習慣や文化、ネットワークによって事業が前に進まない状況が多く存在しています。そのような状況に一石を投じるべく誕生したのが、SHAPE Partnersの海外拠点「SHAPE Global Partners」です。

SHAPE Global Partnersは、シンガポールに拠点を構え、「戦略と実行をつなぎ、アジアの成長に貢献する」ことをミッションに掲げる戦略ファーム。日本企業のASEAN進出や、ASEAN企業の日本進出を戦略・実行一体型で支援するSHAPE Global Partnersのメンバーに、その挑戦の裏側にある想いを聞きました。


アジアのプレゼンスを世界最高峰へ。半年で法人設立、急スピードで実現した挑戦

―― まずは田中さんにお伺いします。SHAPE Global Partnersの設立は、田中さんの強いアスピレーションから始まったと伺いました。なぜ「アジア」にこだわり、海外に拠点を立ち上げるに至ったのでしょうか。

田中:僕は日本で生まれ育ち、多感な時期は、中高一貫の男子校に通っていました。当時、皆が同じ制服を着て過ごすといった均一的な環境に対して、どこか息苦しさを感じていたのですが、高校1年生の時に交換留学で3ヶ月間アメリカへ行く機会があり、そこで得た体験がまさに原体験となりました。

アメリカでは、「一人ひとりが違うからこそ、自分の意志で好きなように生きる」という考えに触れ、自分にフィットした感覚がありました。本当はそのままアメリカに残りたいほど、アメリカの個を尊重する雰囲気や文化が好きだったのですが、期間が決まった留学だったので、一旦は日本に帰り、日本で高校・大学と過ごしています。

ただ、その間もアメリカ留学で得た体験が忘れられず、大学時代はアメリカ以外の文化も体験してみたいという想いから、バックパックひとつでアジア、ヨーロッパ、南米、アフリカと、計70カ国弱を回りました。そのように様々な国で文化や人と触れる中で、一番心地よかったのがアジアでした。見た目の近さであったり、互いを尊重するといった文化であったり、日本に近いものを多く感じたことが大きかったですね。

このようにアジアの雰囲気に惹かれる一方で、欧米諸国におけるアジアのプレゼンスがさほど高くないことも実感しました。アジア諸国の経済的なプレゼンスは、グローバルで見ても高まっていますが、スポーツやソフトパワーの源泉となるエンタメといった領域において、まだまだ対等に見てもらえていない感覚がありました。

だからこそ、「アジアってすごい!」と欧米諸国からも言われるくらい、アジアのプレゼンスを高めていきたいという想いが芽生えたんです。

―― 新卒でBCG(ボストン コンサルティング グループ)に入られたのも、その想いを実現するためだったのでしょうか。

田中:20代のうちに日本やアジアに貢献をしながら、個人の力で生き抜く実力をつけたいという想いから戦略ファームを選びました。日本への貢献という観点ではキャリア官僚、海外駐在という観点では商社という選択肢もありましたが、「何が起きても自分の力で生きていくためのスキル」を得たかったので、戦略ファームに決めました。

BCGでは、個人の力を磨く素晴らしい環境に恵まれ、今でもとても感謝しています。順調にプロジェクトリーダーに昇進し、仕事も楽しく、充実した日々を過ごしていましたが、立ち止まって今後のキャリアについて考えていく中で、自分の原体験である海外、特にアジア諸国のプロジェクトに携わる機会を増やしていきたいという想いが次第に大きくなっていきました。

そんな時に、個人の想いを尊重するSHAPEに出会い、BCGから移ることを決めました。SHAPEは、メンバーファーストを掲げ、個々のアスピレーションを大切にする会社なので、頻繁に「何かやりたいことはないの」と聞かれる機会があるのですが、海外拠点の立上げも代表・藤熊さんやCOO・駒宮さんとご飯を食べていた時に「何かやりたいことは?」と聞かれたことがきっかけです。その場で「海外に拠点を作りたい」という想いを伝えたところ、二人とも「いいじゃん、やりなよ」と言ってくれて。その勢いのまま、帰り道にSlackで「海外拠点を作ります」と宣言し、翌朝改めて対面でも宣言しました。そこから24時間以内にシンガポールへの進出を決め、エージェントに問い合わせまで済ませていましたね。

私の本気度を見せるためでもありましたが、SHAPEが「プロとしての信頼があれば、個々に権限を委ねてくれる」場所だったからこそ、このスピード感で進めることが出来たのだと思います。そして、その半年後に、シンガポールにSHAPE Global Partnersを立ち上げることが出来ました。

―― すごいスピード感ですね!その後、鈴木さんとマーレンさんがメンバーとして参画されましたが、お二人はどのような想いでSHAPE Global Partnersにジョインしたのでしょうか。

鈴木:私は、2025年12月にジョインしました。もともと幼少期に10年間ほどフィリピンとシンガポールで過ごしており、先人たちが築いた「日本ブランド」のプレゼンスに憧れや誇りを持っていました。そのため新卒の就活時は、グローバルに事業を展開している商社を目指していました。そんな中、たまたまフィリピンのコンサルティングファームでインターンをする機会があったのですが、そこで日本人コンサルタントの先輩方が日本企業の海外進出やプレゼンス向上のために、熱い想いを持って奔走している姿を目にしました。私が商社に入って実現したかった「グローバルに活躍する」ということを、まさに体現している人たちがいたんです。それが、コンサルティング業界に興味を持ったきっかけでした。

結果的に、まず日本の大手ファームで経験を積んだ後、シンガポールに飛び出し、日系と外資系の大手ファームのシンガポール法人で計3年ほど企業の海外進出支援などを行っていました。ただシンガポール法人には、本意ではない形で赴任している駐在員もおり、現地メンバーやプロジェクトに対して想いを感じられない状況もあったため、違和感を覚えていました。「売上を作る」という社内論理が先行し、私自身の「アジアを良くしたい」という熱量とのギャップに悩んでいた時に、田中さんと出会いました。田中さんとは初対面でしたが、日本のSHAPE Partnersに知人がおり、前々から話は聞いていたので、「ここは想いを第一にする場所だ」という安心感がありましたね。

最終的には、田中さんの「世界におけるアジアのプレゼンスを高めたい」という強い想いに共感し、また一からビジネスを創ることができる環境にも魅力を感じ、SHAPE Global Partners にジョインすることを決めました。

マーレン:私は新卒で韓国の食品メーカーに勤めていましたが、自分の強みである英語やインドネシア語を活かして、よりダイレクトにアジアの成長に貢献したいと考えていました。SHAPE Global Partnersは、当時田中さんが一人で立ち上げたばかり。「ここなら自分がもっと貢献できる」と感じたのが決め手です。

大手ファームで働く友人からは、ジュニア層は自分で案件を創る機会が少なく、上から降りてきた業務をこなすことが多いと聞いていました。でもSHAPE Global Partnersでは、アナリストの私でも、案件をゼロから創っていくことができます。例えば、日本企業とインドネシアの企業をどう繋ぐか、その対象となる企業をリストアップして、といった議論の初期から当事者としてプロジェクトに携わることができ、とてもやりがいを感じています。


圧倒的なスピード感と現場の「生きた肌感覚」を強みに企業と伴走

―― SHAPE Global Partnersの強みは、どのようなところにあるのでしょうか。

田中:現在は、日本企業がASEANで事業を行いたいとなった際に、「大手ファーム」または調査や実行など特定の業務だけを行う「ベンダー」にサポートを頼む、というように選択肢が二極化している状況です。大手ファームは、戦略を描く分、コストが非常に高く、コストを抑えようとベンダーに依頼すると包括的なサポートを得られない。そのため、私たちが実現したいことは、戦略を描いて終わりでも、業務をスポットで支援するでもなく、同じ船に乗り戦略から実行までをクライアントと一緒に行うことです。

私たちもシンガポールで法人を立てたばかりで、その難しさを分かっているからこそ、クライアントと同じ目線で悩みに寄り添えると思っています。また、駐在員として海外拠点にいる方々は、孤独や心細さを感じている場合が多いので、相手の状況を理解した提案をできることこそが、今クライアントから求められているニーズだと考えています。このクライアントと同じ目線で提案・支援するスタイルは、SHAPE Partnersが日本で成功しているモデルですが、アジアでも上手く機能すると自負しています。

鈴木:伴走するビジネスモデルに加えて、SHAPE Global Partnersはスピード感も圧倒的ですね。大手の場合、グローバル案件では他国オフィスや関係部署との社内調整、承認プロセスに多くの時間が費やされ、クライアントのスピード感に合わせた意思決定が難しい場面が少なくありません。その結果、せっかくの提案機会や事業機会を逃してしまうこともあります。

反対に、日本のSHAPEも、SHAPE Global Partnersも個人の裁量が極めて大きいので、昨日聞いた課題に対して、今日「こうやりましょう」と提案し、翌週には実行に移すことができるという圧倒的なスピード感があります。また、短期間のプロジェクトだけでなく、稼働率を柔軟に変えながら、週一回の会議ベースで長期間伴走するようなモデルも、大手には真似できない強みです。

マーレン:体制面でも、設立の初期段階から私のように現地出身のメンバーを社員として採用している点はユニークだと思います。単なる通訳やリサーチ要員ではなく、文化や人間関係の深い理解に基づいた「肌感覚」を大切にしているSHAPE Global Partnersだからこそです。例えば、企業リストを作る際、データを基準に判断する企業も多くありますが、SHAPE Global Partnersの場合は「このブランドは地元でずっと愛されている」といった、その国で育つ中で養ってきた生活者としての視点を尊重してもらう機会が多くあります。

田中:クライアントからは「本当にASEANを分かっているのか」が常に求められます。だからこそ、私たちはマーレンさんの言う「肌感覚」を非常に重視しています。そして、そうした感覚を養うためにも平日・土日問わず、東南アジア各国を頻繁に回るようにしていますね。良いレストランやホテルを見るだけではなく、あえて超ローカルなエリアに滞在したりもします。実際に現地の人々の多様な生活を経験することで、自分の感覚をアップデートすることができ、結果としてクライアントに還元できると考えています。

鈴木:もう一つの強みは、アジアならではの「人的ネットワーク」の構築です。ASEAN、特にインドネシアやタイなどでは財閥や有力者とのネットワークが経営の鍵を握るので、ビジネスの商談として日本人が真正面から行っても、なかなか入り込むことはできません。

田中:そこで効いてくるのが、私たちが取り組んでいる「アジア甲子園」です。スポーツを通じた交流であれば、財閥系の方々ともフラットに出会うことができます。ビジネスの顔ではなく、一人のスポーツ愛好家として繋がることで、信頼関係の質が変わるんです。こうして築いた独自のネットワークは、将来的にクライアントを現地のキーマンに繋ぐ際に、SHAPE Global Partnersの非常にユニークな武器になると考えています。


コンサルティングの枠を超え、アジアのハブとして未来を創る

―― 最後に、組織として、個人として実現したい目標をお聞かせください。

田中:組織としては、日本のSHAPEと共に、既にASEANで事業を営んでいる日系企業、または今後ASEANへの進出を予定している日系企業を支援させていただける機会を増やしていきたいですね。その先で、シンガポール側での独自案件も増やしていきたいと思っています。将来的には、日本企業の支援はもちろん、ASEANのローカル企業の日本進出や日本事業の立て直しにも寄与していけたらな、と。

マーレン:私は、私のような東南アジア出身のメンバーをもっと仲間にしていきたいです。私はインドネシアで育ち、大学から日本に来ましたが、このように多様なバックグラウンドを持つメンバーが増えることで、お互いのユニークネスが交わり、より組織として強くなっていけると考えています。

鈴木:私は、SHAPE Global Partnersを一つのプラットフォームにしていきたいと考えています。具体的には、日本の企業や文化に興味を持つ現地の人々と協業するための場所にしていきたいですね。それと同時に、アジア諸国で頑張る日本企業にとっても「SHAPE Global Partnersと一緒だったから競争力が上がった、プレゼンスが高まった」と言ってもらえる存在を目指していきたいです。

このような形で日本企業の成長をサポートすることによって、間接的にアジア諸国の現地の経済面や心理的な側面を豊かにすることができると信じていますし、アジアと日本の橋渡しをしていきたいですね。

田中:私個人としては、「世界におけるアジアのプレゼンスを高める」ことが最大の目標です。SHAPE Global Partnersは、「未来をSHAPEする(形作る)」という意味も社名に込めており、グローバルの未来を創っていくための取り組みを積極的にしていきたいと考えています。

シンガポールは多様な国の人が集まるハブです。この場所だからこそ、日本とアジアの交流を深め、アジア全体のプレゼンスを押し上げられると信じています。当面はコンサルティングが主軸ですが、大手のような高額パッケージだけでなく、数十万円から日常的に議論できる関係性や、VCのような出資、さらに現地の肌感覚を活かした新しいビジネスモデルの共創など、従来のコンサルモデルに捉われない挑戦をし続けていきたいです。そして、「アジアってすごい!」という認識や声を世界中に多く生み出していけたらな、と思っています。