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価値創造を新たな基準に― “メンバーファースト”を掲げるSHAPE Partnersが描く新しいプロフェッショナルファームとは

価値創造を新たな基準に― “メンバーファースト”を掲げるSHAPE Partnersが描く新しいプロフェッショナルファームとは

Corporate

Interview

2026/02/02

藤熊 浩平 / 代表取締役 CEO
東京大学理学部、同大学院新領域創成科学研究科(修士)を卒業後、A.T.カーニー、Boston Consulting Group等を経て、SHAPE Partnersを創業。
一貫して、エンタメ/スポーツ、消費財、ヘルスケア、メディア等のクライアントとともに、事業戦略、新規事業開発、マーケティング戦略等のプロジェクトをリード。
大学時代は硬式野球部に所属。4年時には4番打者として、東京六大学野球リーグでの年間5勝に貢献。(写真:右)
駒宮 健大 / Managing Director COO 兼 SHAPE Sports 代表取締役 CEO
東京大学農学部、同大学院農学生命科学研究科(修士)を卒業後、Boston Consulting Groupを経て、2023年にSHAPE Partnersに参画。スポーツ/エンタメ、メディア、消費財領域を中心に成長戦略、事業戦略、新規事業開発などを数多くリード。特に近年はスポーツ領域を管掌し、2025年にグループ会社SHAPE Sportsを設立、代表に就任。大学時代は硬式野球部に所属、4年時には学生コーチとしてチームの戦術・采配をリード。卒部後は母校の高校野球部のコーチ/助監督を務める。 (写真:左)


現在4期目となるSHAPE Partners (以下、SHAPE)。業界全体が売上至上主義へと向かう中、価値至上主義を掲げ、メンバーのアスピレーション(想い)によってビジネスを創り出していくプロフェッショナルファームは、どのように誕生したのか、また今後の目指す在り方とは。

創業者でありCEO・藤熊と、COO・駒宮に、創業に込めた想いや、今後の展望について聞きました。

創業の原点:業界で顕在化してきた「アスピレーション」と「売上」のギャップ

―まず初めに、お二人の出会いを教えていただけますか。

駒宮:最初の出会いは私の就活時です。東大野球部のOBでもあった藤熊さんに会いに行ったのがきっかけでした。当時、藤熊さんはA.T. カーニーに在籍されていたのですが、2014年に私がBCGの内定をもらったタイミングで、藤熊さんも「実は僕もBCGに行くんだよね」という話になって。2015年に私が入社した時には、藤熊さんがBCGの1年先輩になっていました(笑)

BCG時代、同じプロジェクトになることはなかったものの、共通点も多かったので、プライベートで食事に行かせてもらったり、一緒にBCG内で草野球チームを立ち上げたりもしましたね。

藤熊:藤熊:そうですね、BCGへの転職を決めたタイミングは本当に偶然で。私は7年ほどカーニーに在籍し、消費財業界を中心に担当していたのですが、ちょうどBCGがある国際的なスポーツ大会のスポンサーになろうとしていると聞き、「スポーツビジネス、それも世界規模のプロジェクトを担当できるのでは」という期待から転職を決めました。

BCGに入社後は、国際大会はもちろんのこと、消費財業界など自分が興味のある領域のプロジェクトを担当していましたが、アスピレーションを持っていたスポーツやエンタメ領域はビジネス規模が他業界と比べると小さかったため、規模が大きく、売上の大きなプロジェクトを優先しなければいけない状況でした。これは、BCGだけに限ったことではなく、他のファームも売上が大きなところに注力するというのは変わりません。

事業会社として、売上を立てて事業を成長させることは重要ですし、規模の大きなプロジェクトを動かすことには確かに魅力を感じていました。一方で、私が心から取り組みたいスポーツやエンタメといった領域は、ビジネス規模という観点だけで見ると、BCGのテーブルにはなかなか乗らないものが多くありました。

駒宮:確かにそうですよね。 私も同じように自分のアスピレーションと会社の姿勢にギャップがあると感じていました。 新卒で入社してから5年ほどは、プロジェクトベースで様々な業界のプロジェクトに関わっていました。その過程で、スキルを習得し、成長している感覚が楽しかったのですが、マネージャーになってからは、自分のアスピレーションに合う、合わないは関係なく、チームを育てること、そしてプロジェクトをリードし、成果を出すことが最優先事項になっていました。

プロジェクトが終わると同時に、自分の意思とは関係なく次の提案や新しいアサインが決まっていく。「自分は何のために働いているんだろう」と考えるようになったのも、ちょうどこの時期でした。

だからこそ改めて、「自分の本当にやりたいことは何か」を突き詰め、その結果、やはり自分のアスピレーションはスポーツや野球にあると再確認し、「行動を起こさなければ」と強く思うようになりました。

BCGに不満があったわけではないのですが、このままで本当に良いのかという想いが強くなっていったので、色々な方に話を聞こうと思った時に、最初に思い浮かんだ人が藤熊さんでした。

 

藤熊:駒宮さんから連絡をいただいたのは、私がBCGを退社し、スポーツビジネスも扱うブティック系ファームを経て、ちょうど独立したばかりのタイミングでした。 ありがたいことにクライアントはいたのですが、事務所もなければ、社員もいない、まさにゼロからのスタートでしたね。 

私もBCGに不満があって辞めたというよりは、スポーツビジネスへの熱量が高まったことが独立のきっかけです。 BCG時代、ロサンゼルスに数カ月間留学し、現地でアメリカのスポーツビジネスについて学んだ際に、「日本にはまだまだスポーツビジネスの成長機会がある」と確信したことが大きな転機でした。帰国後、BCG内でスポーツビジネスを本格的に開拓しようと動いてはみたものの、やはり会社として優先順位を上げて取り組むまでには至りませんでした。   

その後、スポーツビジネスも扱うブティック系ファームに移ったのですが、そこがファンドに買収された後、結局は大手のファームと同じく”売上至上主義”に走ってしまって…。 ほどなくして、自分でやろうとSHAPE Partnersを立ち上げました。 

駒宮:藤熊さんにお会いして、その想いに共感したのを覚えています。 個々のアスピレーションを大切にし、事業やサービスの価値をさらに高めることを第一に掲げる”メンバーファースト”のファームとしてSHAPE Partnersを創られたこと。さらには、スポーツを事業の軸の一つに据えていて、すでに魅力的なクライアントもいるということ。 その話を聞いて、すぐに初期メンバーとして入社を決めました。

 

”価値至上主義” が目指す幸福の最大化

 ― SHAPE Partnersは、価値に重きを置く”価値至上主義”を掲げていますが、どういう意味なのでしょうか。

藤熊:改めて言葉にすると難しいですね。私たちの反意語として売上至上主義がありますが、売上があるということはクライアントのニーズに応えていることでもあるので、それはそれで価値だと思っています。

ただ「自分がなぜ働いているのか」という問いに向き合わず、会社から設定された売上目標を達成するためにひたすらに働く。この状態が売上至上主義であり、いま業界に広がっている傾向です。

だからこそ私たちは、「その会社が世の中に提供している価値に対して、私たちは共感できるのか」を軸に、クライアントの企業価値やサービスの価値を本質的に高めることを目指したプロジェクトを主に担当しています。

SHAPEでは ”メンバーファースト”を掲げていますが、これは「メンバー一人ひとりの想いを起点にビジネスを創る」という考え方です。 自分が「やりたい」「価値がある」と思えることを起点にすれば、メンバーは夢中になって働ける。想いを持ったプロフェッショナルが担当すれば、その熱量がクライアントにも伝わり、組織全体にパワーが出る。 そんな双方にとって幸せな状態を作ることが、結果として売上にも繋がっていくのだと考えています。

駒宮:世の中で謳われる"売上至上主義"は、多くの場合、何かを犠牲にして売上を作る構図になりがちです。たとえば、メンバー本人はやりたくない仕事でも「売上のためにやらなければならない」という状態ですね。

一方で、私たちが考える"価値至上主義"の定義は、「一人ひとりの幸福の最大化」です。

メンバーがやりたいことをやれている。それがクライアントと同じ方向を向いている。そうすれば、多少苦しい局面があっても「自分のやりたいことだから」と頑張れますし、その結果、高い価値を創ることができ、楽しく働ける人が増える。この一連の流れにおいて、変な犠牲は発生していません。こうして一人ひとりの幸せな状態を作ることこそが、真の"価値至上主義"なのだと思います。結局のところ、人はやりたいことをやっている時が、一番パワーを発揮できますよね。

藤熊: そうですね。だからこそ、私たちがクライアントに共感するだけでなく、「クライアントも私たち(の想い)に共感してくれているか」という視点も、ご一緒させていただく上ではとても大切にしています。

―なるほど。価値至上主義の場合、従来のコンサルティングと仕事の進め方や業務内容が変わってくるのでしょうか。

藤熊:そうですね。もちろん「クライアントの課題を解決する」というコンサルティングの基本は変わりません。 ただ、私たちは想いを大事にしているので、「この人のために」  「この人と」働きたい、というように人と人とのつながりで、プロジェクトが生まれることが多いですね。

駒宮:人と人のつながりで言うと、野球関連の本の中に出てきたキーマンの方に「お会いしてみたい」と思っていた矢先に、タイミングよく知人からその方を紹介してもらい、プロジェクトに繋がったケースもあります。

最初からプロジェクトありきではなく、まずはカジュアルにお時間をいただいたのですが、実際にお会いして話す中で、私の考えに深く共感していただくことが多く、「ぜひプロジェクトとして一緒にやってみよう」という流れになりました。もちろん、先方にはすでに関係性のある他社さんもいらしたのでコンペ形式にはなったのですが、最終的に私たちを選んでいただき、今も良い関係が続いています。エンタメ領域でも似たようなケースがありますよね。 

藤熊:ありますね。元々私がご一緒していたエンタメ企業の方から、「知り合いで困っている人がいるから、SHAPEさんに話を聞いてもらいたい」と声をかけていただいていました。ちょうどそのタイミングで、エンタメ領域に強いアスピレーションを持つ北浦さんがマッキンゼーからSHAPEに参画してくれたこともあり、それ以降、一気にエンタメ領域での取り組みが拡がっています。

スポーツもエンタメも、結構横のつながりが強いので、自分たちがアスピレーションを持っていることを発信し続けていると、こういった縁に恵まれるんだな、と実感することが多いですね。

 駒宮: 私たちが”価値”に重きを置いているからこそ、クライアント側も安心して他の方に紹介しやすいのかもしれませんね。 よく初対面の方から、「SHAPEからは熱量が伝わってくる」「自分たちと同じ立場で考えてくれるから安心する」と言っていただくことがあります。一般的なコンサルティングファームに比べても、クライアントとの心理的な距離が圧倒的に近いのだと思います。


藤熊:コンサルティングと言っても、結局は「人と人とのつながり」なんですよね。 私たちは、自分たちに共感してくれるクライアントに対し、いただいたフィー以上の成果でお返しする。そして、プロジェクトが終われば「終わり」で良い。この関係性を築いていくことを大切にしています。

一方で、これが”売上重視”になってしまうと、プロジェクトが終わる頃に新しいプロジェクトを作って、延命のために動くようになる。もちろん、課題のある企業は少なくないので、プロジェクト自体はクライアントのためになると思うのですが、「それが本当に心からクライアントのためを想った提案なのか?」と問われると、どうでしょう。付き合いが長くなればなるほど、クライアント側もその状況に違和感を覚えるかもしれません。

私たちは、プロジェクトの獲得や延命よりも、クライアントとの健全な関係の構築を重視しているので、クライアントと意見が異なったとしても、プロフェッショナルとして自分たちの意見を伝えることを大事にしています。その結果、プロジェクトに繋がらなくても良いと思っています。常にクライアントに対して誠実でありたいので、相手に合わせてしまうと自分たちの想いに反することも起こり得て、結局は誰もハッピーになれないのかな、と。

ちなみに、一度は別のファームにお願いされたクライアントが 「やっぱりSHAPEにお願いしたい」と戻ってこられたケースも多くあります。「本音で話せる相手が少ないから」と。そういったお声をいただくと、私たちが掲げる”メンバーファースト”や”価値重視”のコンサルティングスタイルは、長期的な視点で見れば上手く回っていると思います。 


メンバーの想いによって形作られるプラットフォームでありたい

― 創業4期目となるいま、自分たちのビジネス成長をどのように見ていますか。

藤熊:正直、「出来すぎ」だと思っています(笑)

もともと「何年後に、これくらいの売上で、社員は何人で」といった具体的な構想を掲げていたわけでもなく、「自分たちが好きなことを、好きな形で実現できるプロフェッショナルファームでありたい」という想いからスタートしています。それぞれが好きなことを通じて、働く意義を見出す、そんな状態がつくれれば良いなと。

それが、今では30名ほどの組織になり、メンバーそれぞれが自分のアスピレーション領域で、共感できるクライアントと共に、楽しくプロジェクトを進めている。そして、売上という観点でも堅実に成長することができているので、順調そのものなのかなと。

駒宮:そうですね。1年目は、藤熊さん、私、ともう一人BCG出身の田中さんが入ってくれて、経営体制を整えました。2年目は、私たちが掲げるメンバーファーストに共感してくれるメンバーが増え、会社としての体制が整った状態でした。そして3年目に、スポーツビジネスを専門に扱うSHAPE Sports やグローバル案件を扱う SHAPE Global といったように、メンバーのアスピレーションごとにSHAPEを暖簾分けするような展開も始めています。新しいプロフェッショナルファームのあり方を創るための、次の一歩を踏み出したフェーズですね。

今後も、売上や従業員数などの目標を掲げて、その実現に向けて戦略立てていくというよりも、メンバーファーストによって創られる会社でありたい、と思っています。会社を大きくすることを目指すのではなく、個々が想いや好きを追求できる環境を整えた結果として、SHAPEという新しいプロフェッショナルファームの形が存在している。そんなイメージを持っています。

―注力領域なども変わらず、スポーツ・エンタメ領域を中心に今後も事業展開をしていくのでしょうか。

駒宮:注力領域でいうと、SHAPEの頭文字をとって、Sports / Human Capital / Apparel / Principal Investment / Entertainment を今は掲げています。SHAPEとして、まずはこれらの注力領域に取り組んでいき、ゆくゆくは先ほど言った暖簾分けの状態で、SHAPEという母体を軸にそれぞれをエンティティとして強化していきたいという考えはあります。

藤熊:私たちが目指している究極の状態は「プロフェッショナルにとっての、ディスティネーション(最終目的地)になること」。そのため、強いプロフェッショナルスキルを持った個人が、想いを想いのままに実現するためのプラットフォームでありたいと考えています。その方が、つまるところ皆ハッピーになれるのかなと。

反対に、私がこうしたい、ああしたいとなると企業として、良くて100点、悪くても80点くらいは取れるのですが、100点を超えることがなくなってしまうと思っています。そうすると、企業としての面白みや変化がなくなってしまいますよね。だからこそ、個が主役となるプラットフォームをつくって、私を含むメンバー同士の掛け合わせによって150点を実現していきたいという想いがあります。

今後、スキルを持った想いの強いメンバーが集まって、仮に何千人規模の会社になったとしても、それは結果論であって、私たちは常にメンバーの想いを優先したいと思っています。

―最後に、今後SHAPE Partnersとしてどのような方をメンバーに迎え入れたいと考えていますか。

駒宮:そうですね。私は最終面接を担当することが多いのですが、「この人は良いな、一緒に働きたいな」と思う方の特長として2つあります。一つは、強い想いや情熱を注げるものを持っており、その想いや情熱が原体験によって形作られている人。もう一つが、他者貢献意欲の強い人です。

 私たちは”メンバーファースト” を掲げていますが、これは何でも好き放題やって良いという意味ではなく、大前提としてプロフェッショナルであることを期待しています。 クライアントには期待以上の成果でお返しすることを常に意識しており、たとえ好きな領域の仕事でも、大変なことや苦しい局面は往々にしてあります。そういう時、単に「好きだから」という理由だけでは乗り越えるのが難しい場合もあるんです。

だからこそ、「過去のこの経験があるから、この課題を解決したいんだ」という原体験に基づいた想いを持っている人は強い。そういう熱量がある人は、困難な壁にぶつかっても乗り越えていけるので、SHAPEというプラットフォームで輝けるのだと思います。

また、コンサルティングの仕事は一言で言えば「他者の課題に寄り添い、解決すること」です。 そのため、心から他者に尽くせるかどうかが基礎として非常に重要だと思っています。自分のため以上に、「周りの人のために自分ができることをしたい」という他者への想いを自然に持てる人は、やはり魅力的ですよね。

藤熊:加えるのであれば、アスリートマインドを持っている人であって欲しいですね。私たちはプロフェッショナルファームとしてサービスを提供していて、それは誰でもできる仕事ではないので、選ばれた以上は自己研鑽に励み続けることが出来る人、そして個としてスキルを磨き続けられる人が良いな、と。

もちろん、ジュニアメンバーへのサポート体制も整えていますが、最終的にはプロフェッショナルとして独り立ちをしていくので、「個として何ができるのか」、「自分が提供できる価値は何なのか」を突き詰めて考えられる人に、仲間になってもらいたいと思います。

SHAPEには、「コンサルティングスキルが学べそう」「そこそこ安定していそう」というように環境に魅力を感じている人よりも、「SHAPEという環境をどう変えたら、自分が一番価値を発揮できるのか」を考えて、提案・実行に移すメンバーばかりなので、今後もそういった人に仲間になっていただくことで、SHAPEというプラットフォームを進化させていきたいと考えています。

メンバー一人ひとりが強いアスピレーションを持っていると、全員が納得できる状態を作ることは難しいと思うのですが、SHAPE Partnersを軸に、メンバーの想いを尊重する形で、それぞれにとって最適な環境を創り続けていくつもりです。